ナノポーラス金属の環境感知機能開拓

袴田 昌高
(京都大学大学院 エネルギー科学研究科 エネルギー応用科学専攻 准教授)

2017年11月8日水曜日

京大テックフォーラムで講演します

数年ぶりの更新で恐縮ですが、宣伝をさせてください。

京大テックフォーラム(12月14日(木)、京都アカデミアフォーラムin丸の内)で、研究題材の「ナノポーラス金属」を紹介する講演をします。詳細は以下URLからご参照願います。

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/events_news/department/sankangaku/events/2017/171214_1545.html

https://www.saci.kyoto-u.ac.jp/?p=6124

改めて、ナノポーラス金属の電子顕微鏡像です。顕微鏡でピントを合わせていき、この像が見えるといつもうれしくなります。

また、遅い報告ですが、助成を元手に研究した成果は、以下の学術論文として発表することができました。

  • Masataka Hakamada, Naoki Kato, Naoki Miyazawa and Mamoru Mabuchi,Water-adsorption effect on electrical resistivity of nanoporous gold, Scripta Materialia 123, 30–33, 2016. (doi: 10.1016/j.scriptamat.2016.05.041)
  • Masataka Hakamada, Naoki Kato and Mamoru Mabuchi, Electrical resistivity of nanoporous gold modified with thiol self-assembled monolayers, Applied Surface Science 387, 1088–1092, 2016. (doi: 10.1016/j.apsusc.2016.07.059)

どちらも、金属表面にモノ(水分子、有機分子)がくっつくと電気抵抗が変わるという研究結果です。「表面だらけ」のナノポーラス金属を用いることで、電気抵抗の変化を検出できました。

ただ、「なんで電気抵抗が変わるの?」という部分は正直、あまり掘り下げていません。まだまだ分からないことも多いです。

改めまして、財団のご支援に御礼を申し上げます。ありがとうございました。今後も研究にまい進します。


2014年3月27日木曜日

(経過)報告

助成をいただいた研究内容は、当初記載したナノポーラス金属のスポンジの穴に物質を吸着させて、電気抵抗変化を見るというものでした。ナノポーラス金属には穴がたくさんあるので吸着する量も大きく、金属の代表的な物性である電気抵抗が変化しないかな、という狙いです。

助成をもとに実験系を構築し、測定した結果、確かに物質を吸着させることで電気抵抗が変化、することがありました。

…ですが、まだ測定にブレがあり、はっきりした結論を得るにはもう少し時間がかかりそうです。何を吸着させるのか、その理由は、吸着させる量は、など、検討項目はまだまだありますし、もっとわかりやすいデータにするためのアイディアも検討しています。論文発表や学会発表の形にまとめられた際に改めてご報告できればと存じます。

ともあれ、助成のおかげで基本的な実験系をスムーズに構築することができました。国際科学技術財団のご支援に感謝申し上げます。

写真も図もなく、文章だけだと殺風景ですね。代わり、にはならないですが、「京大 卒業式」で検索すると今年の卒業生の仮装が写真なり動画なりで見られますので、お楽しみいただくか、呆れるかしていただければ幸いです。仮装時計台とは私も時計台周辺ですれ違いました。研究室の卒業生の中にも仮装した子がいるというハナシです。テレビには映れなかったようですが。

2014年3月3日月曜日

2月、3月

9月の圧延機のハナシから、更新が長らく途絶えてしまいました。

京都はまさしく三寒四温といった今日この頃。よく、「大学の先生は授業のない春休み(2月、3月)は何してるの?休みなの?」という質問をされますが・・・

安田先生もブログで書いていらっしゃいますが、2月には修士論文や卒業論文の発表会があります。教員としてその指導をするのですが、今の学生さんは発表がうまいなと思います。少なくとも私が学生のときにはもっと緊張してしどろもどろだった記憶がありますが、そういうこともなく、特に大学院生(修了生)は学会発表の経験も豊富なせいか、堂々としたものだと感心します。「12分とか15分とかの与えられた時間で何かを伝える」というゲームを楽しんでるような雰囲気もあり、修了して社会に出たあとも首尾よく仕事をしてくれそうだなと思わせてくれます。

2月末は大学にとっては大事な入試です。入試当日のキャンパスは受験生の緊張と在校生からのサークル勧誘の熱気とが入り混じって独特の空気。サークルによっては教員にも「おつかれさまでーす」と体育会系の挨拶をくれたりします。ちょっとびっくりします。

で、3月は (1) 次年度のためのネタ仕込み実験、(2) 次年度の授業の準備、(3) 学会の講演大会での発表、(4) その他年度末特有の書類仕事(報告書など)。特に授業のないこの期間、(1)のネタ仕込みは大事ですが、(2)(3)(4) とのうまい配分も必要です。いつも難渋します。

・・・というわけで、休み、ではないです。給料いただいてますし。

脈絡はないですが、最近の発表論文 (M. Hakamada, T. Matsuzawa, M. Mabuchi, Mater. Trans. 55 (2014) 534-538) から顕微鏡写真を。

樹枝状結晶(デンドライト)といいます。氷の結晶が有名ですが、これは金属です。

金属でも、氷の結晶のようなデンドライトを作ることができます。何に見えますかね?私は南国のヤシの木々を上から見ている気分で観察していましたが、第二著者の大学院生・松澤君曰く「魚の骨」みたいと。

2013年9月24日火曜日

圧延機

中古の圧延機を導入しました。圧延というのは、金属の平たい板を作るために、ロールの間に挟んで伸ばすことを言います。金属だけでなく生麺(なまめん)なんかも圧延で作られています(「麺 圧延」でウェブ検索するとわかります)。

これでナノポーラス金属のもととなる板を作ります。今まで圧延機がなかったので前職の研究機関で圧延をしてもらっていましたが、これで、研究室ですぐに圧延できるようになります。

写真では上ロールしか見えてませんが、実際には下にもロールがあります。上下のロールで金属を挟み込んで伸ばします。

昭和42年製と、かなり年季の入った装置で(私より10歳以上年上です)、稼働すると「ゴウンゴウン」と重厚な音を出してくれます。10トンくらいまでかかるので、手の巻き込みには厳重注意です。

古くてもちゃんと手入れをして使えるというのは、なんとなく気分が良いです。

2013年7月18日木曜日

論文掲載

以下の論文がJ. Power Sources誌に掲載されました。

Fabrication of carbon nanotube/NiOx(OH)y nanocomposite by pulsed electrodeposition for supercapacitor applications
M. Hakamada, A. Moriguchi, M. Mabuchi, J. Power Sources 245 (2014) 324-330.

カーボンナノチューブを寄せ集めて作ったナノポーラス炭素素材に酸化(または水酸化)ニッケルを細かく分散させて、電解キャパシタ(コンデンサ)としての特性を測りました。猛暑の折、効率的な蓄電(電気を溜める)に生かせればと思います。

2番目の著者の森口君が奮闘してこの試料を作ってくれました。電子顕微鏡で最初観察した時、ツブツブな感じが「アーモンドポ●キー」に似てると思いましたがどうでしょうかね。ナノポ●キー。やっぱり伏字にしないといけませんかね。

カーボンナノチューブを集めて作ったナノポーラス素材にニッケルの(水)酸化物を細かく分散させました。

2013年7月4日木曜日

国際会議参加

6月23~28日、アメリカのRaleighで開かれた国際会議Metfoam2013に参加してきました。先日紹介したスポンジのような金属(ポーラス金属)は世界中で研究されていて、2年に1度、アジア・北米・ヨーロッパのいずれかで開催されます。

開催都市のRaleigh、最初は発音がわかりませんでしたが、ローリーと読みます。ノースカロライナ州の州都です。いわゆる「地球の●き方」のような日本の旅行ガイドブックには全く載っていない学術研究都市で、日本でいえばつくばみたいな位置づけでしょうか。

会場のコンベンションセンターは大きな建物です。もっとも、アメリカは車でも空港でも何でも大きい気がしますが。

ローリーコンベンションセンター
ローリーコンベンションセンター。向かいのホテルの部屋からちょうど全景が見えました。

今回で第8回を迎えるこの会議の初日に発表しましたが、時差ボケと緊張とで正直かなり難渋しました。反省点は多々ありますが、セッションを終えた後に質問をいただけたので、救われた気分です。

会議には関係ないですが、上の写真に地平線が写っています。どの方向を見ても地平線が見渡せる風景というのは、アメリカならではと思いました。日本で、特に京都のような盆地に住んでいると、そういう景色はまず見られません。部屋が西向きでしたので、夕方にはコンベンションセンターの向こう、地平線に沈むきれいな夕日を眺めることができました。(そういう写真を撮ればいいんでしょうが、気がつかなくていけません)

ポーラス金属は日本のほかにも、アメリカで基礎研究が、また韓国やドイツで実用研究が進んでいます。

ドイツのフラウンホーファー研究所の展示ブース。ポーラス金属のサンプルがたくさん展示されています。

私の研究するナノポーラス金属も、実用に近づく一歩手前です。国際的な動向も踏まえながら、今後も研究に取り組みたいと思います。

2013年5月23日木曜日

研究題材と交流会

研究題材

研究内容について何も書いていませんでしたので、少し書きます。

現在研究の対象にしているのはナノポーラス金属という少し変わった素材です。下図aのようにスポンジのような構造をした金属ですが、台所の金属スポンジと違うところは、穴の大きさがナノメートルオーダ(原子数十個~数千個分)と非常に小さいこと。

溶液処理の方法によってはb~eのようにヘンテコな、生き物のような形に変貌を遂げます。

(a) 通常のナノポーラス金と (b-e) 異形ナノポーラス金
(a) 通常のナノポーラス金と (b-e) 異形ナノポーラス金
(Adapted with permission from Nano Lett. 6 (2006) 882, Copyright (2013) American Chemical Society.)

電子顕微鏡でb~eを最初に見たときにはただただ「なんじゃこりゃあ」と思いました。金属、それも不活性な金を扱っているので頑強・不変というイメージがありましたが、こんなふうに形が変わるというのは意外でした。

それ以来、このヘンテコなヤツが何かの役に立てるといいなあと思いながら、研究をしています。

西日本若手技術交流会

9月に開催予定の日本塑性加工学会の若手のイベント「第7回西日本若手技術交流会」が参加申込受付を開始しました。私はポスター・講演論文集係を承っています。

今年は淡路島で開催されます。3月上旬に会場の下見をしました。瀬戸内海が一望できるよいロケーション・・・でしたが、強烈な暴風雨に見舞われました。それでも屹立する明石海峡大橋(写真は天気が回復した後に撮ったものです)。

淡路島からの明石海峡大橋

当日は最初からスカッと晴れるとよいなあと思います。